2024年12月29日から30日にかけて、家族4人で天ヶ瀬温泉の成天閣に泊まってきました。
福岡市から車でおよそ1時間半。遠出すぎず、それでいてちゃんと温泉旅行の気分になれる、ちょうどいい距離です。
泊まっていちばん印象に残ったのは、やはり川の景色とお湯の気持ちよさでした。
橋を渡って宿に入るところから気分が変わって、部屋に入れば窓の向こうに川が広がっています。豪華さを前面に出す宿ではないけれど、景色と温泉をゆっくり味わうにはとてもいい場所でした。
もちろん、気になるところがなかったわけではありません。
館内の場所によって古さの残り方に差があったり、冬場は廊下がかなり寒かったり、乾燥が強かったり。そういう惜しさはありました。でも、それでもなお、この温泉地とこの宿のことが気になってしまう。そんな一泊でした。
川沿いの景色と湯の花が舞う温泉が印象に残る、天ヶ瀬の宿
天ヶ瀬温泉 成天閣とは

成天閣は、大分三大名湯のひとつといわれる天ヶ瀬温泉にある宿です。
目の前には川が流れ、赤いつり橋を渡って宿へ向かうつくりになっています。全室リバービューで、温泉街の静けさと川の音を感じながら過ごせるのが魅力です。

天ヶ瀬温泉自体が長い歴史を持つ温泉地で、成天閣も昔からこの地にある宿です。
2020年の豪雨で大きな被害を受けたあと、2021年に一部をリニューアルして再スタートした背景もあり、館内には新しく整った部分と、時間を重ねてきた部分の両方が残っています。
だからこそ、ここは完璧に整った新しい宿というより、今の天ヶ瀬の空気ごと感じる宿なのだと思います。
宿泊レビュー|実際に泊まってみた感想
- 宿泊ホテル:天ケ瀬温泉 成天閣
- 日にち:2024年12月29日~12月30日
- 人数:大人2人、子供2人
- 部屋タイプ:2Fリニューアル中央館和室
- プラン:1泊2食付き(夕食:松懐石)
- 価格(税込):60,500円
今回の一泊は、川のそばで過ごす時間そのものがいちばんのごちそうでした。
赤いつり橋を渡って宿へ向かう道のりは、それだけで気分が上がります。
橋の途中から川を見下ろすと視界がぱっと開けて、温泉地に来た実感がわいてきます。玄関に着いて自動ドアが開くと、広いロビーとくつろぎスペースが迎えてくれて、そこでようやくほっとひと息つけました。
お部屋に入ってからも、窓の外に見える川の景色がずっと気持ちよくて、ただ座って眺めているだけでも贅沢でした。
館内のすべてが新しく整っているわけではありません。でも、きれいになった客室で川を見ながら過ごしていると、細かいことは少しどうでもよくなってきます。

いちばん満足度が高かったのは温泉です。
湯の花がふわっと浮く少しぬるりとしたお湯で、入った瞬間に「これはいいお湯だな」と思える感じがありました。夕食もよく、年末の宿泊だったことを考えると、かなり丁寧に準備されていたと思います。
反対に、冬の乾燥と寒さは想像以上でした。
そこだけは少し身構えて行ったほうが、より快適に過ごせるはずです。
成天閣に到着|橋を渡るところから旅気分が始まる
天ヶ瀬の温泉街に着いて、赤いつり橋の手前にある駐車場に車を停めました。
そこから橋を渡って宿へ向かう流れが、成天閣らしい時間の始まりです。橋の上から見える景色は開放感があって、冬の冷たい空気まで含めて気持ちが引き締まります。

ロビーは広く、左手にはゆったり座れるスペースがありました。
電子暖炉は見た目だけの演出ではありますが、子どもがいても安心ですし、空間にやわらかさが出ていてよかったです。
コーヒーや紅茶が自由にいただけるのも嬉しいところ。小鹿田焼のマグカップが使われていたのも、土地の空気を感じられて印象に残りました。
部屋の雰囲気|川を眺めながら過ごせる和室

今回の部屋は、中央館のリニューアル和室でした。
部屋にたどり着くまでの廊下には少し古さが残っていて、「意外と古い…。」と思う場面もありましたが、部屋の中に入ると印象が変わります。


和室はきれいで、広さも十分。大きな窓のある縁側まで付いていて、落ち着いて過ごせる空間でした。

布団はごく普通の敷布団で、特別ふかふかというわけではありません。

普段マットレスで寝ている私たちには少し合わず、翌朝は体が少し痛くなってしまいました。布団に慣れていない人は、ベッドの部屋を選んだほうが安心かもしれません。

ただ、窓際に座って川を見ている時間はとてもよかったです。
この部屋の良さは、設備の新しさよりも、そこに流れている景色にある気がしました。
設備・アメニティ|浴衣選びも楽しい

床の間にはタオルや浴衣用の上着、金庫などが置かれていて、縁側の奥には冷蔵庫とミネラルウォーター、お茶菓子も用意されていました。


生姜のきいたおせんべいが、温泉宿のお茶請けらしくてよかったです。

アメニティは、子ども用と大人用で分かれていました。
子どもにはスポンジ、歯ブラシ、フェイスタオルのセット。大人はロビー横で必要なものを選ぶ方式で、スキンケアも揃っていました。脱衣所にも用意があるので、不足を感じにくかったです。

浴衣の種類が多いのも楽しかったところです。


柄やサイズがいろいろあって、子ども用の下駄まで可愛い。湯かごや日田杉の下駄も貸し出しされていて、温泉街を歩く気分を盛り上げてくれます。
お風呂・トイレ・洗面台|客室まわりは使いやすい

客室のトイレはウォシュレット付きで、清潔感がありました。

洗面台には焼き物が使われていて、蛇口も少し凝ったデザイン。古い宿の中でも、部屋の水まわりはちゃんと手が入っている印象です。ドライヤーも比較的新しめで、使っていて不便はありませんでした。

部屋風呂もきれいでしたが、この宿に泊まるならやはり大浴場に行きたくなります。

そう思えるくらい、温泉の存在感が大きい宿でした。
温泉|お湯の良さで印象に残る宿

提灯が下がる通路を通って温泉へ向かう時間も、ちょっとした非日常でした。

浴場は「癒游湯」と「山の音」の2つがあり、滞在中に男女が入れ替わります。片方は広めの露天風呂と立ち湯、もう片方は少しこぢんまりしていますが寝湯があります。両方入ってみると、同じ宿でも雰囲気が違っていて面白いです。

最初に入った「山の音」は、露天風呂こそ広くないものの、お湯の印象がしっかりありました。
湯の花が見えて、少しぬるっとする泉質で、温度はやや熱め。長湯はしなかったのに、上がる頃にはちゃんと体が温まっていました。湯上がりの冷たい水がすごくおいしかったのをよく覚えています。
ここは、派手な演出よりも、純粋に「お湯がいい」と感じられる温泉でした。
天ヶ瀬温泉 成天閣の夕食は?|松懐石は満足度高め

夕食は2階のお食事処すみれでいただきました。
半個室になっていて、子連れでも落ち着いて食べやすい空間です。今回は馬刺しや豊後牛が入る松懐石を選びました。

料理は、前菜からしてきちんと手がかかっている印象でした。



鴨鍋はあとから蕎麦を入れて食べると出汁がおいしく、子どもたちにも好評。

豊後牛は味噌だれが香ばしく、馬刺しも新鮮でした。

中でも印象に残ったのは鮎です。

席の窓から見える川の下流でとれたと聞くと、それだけでおいしさが増す気がしました。実際、脂ののりもよくてかなり満足しました。

終盤に出てきた牛タンシチューや、赤飯とモッツァレラチーズ入りの茶碗蒸しも、ひとクセありながらちゃんとまとまっていて面白かったです。

ただ、子ども用のお子様ランチだけは少し惜しかったです。

内容は子ども向けなのに、全体的に冷めていて、温かい料理が運ばれてくる大人の食事と比べると少しかわいそうでした。
朝食は?|素朴だけど、ちゃんとおいしい和定食
朝食も夕食と同じ場所でいただきました。
内容は和定食で、きんぴら、おから、ひじきなど、派手さはないけれど落ち着くおかずが並びます。アジの一夜干しは席で温めて食べられるので、熱々の状態でいただけるのがよかったです。
前夜のお子様ランチには少しがっかりしていたのですが、朝食は子どもも大人に近い内容で、こちらのほうが自然に食べやすそうでした。
朝から重すぎず、でも物足りなくもない。温泉宿の朝ごはんとしてちょうどいい感じです。
近くの観光スポット|田代屋と高塚愛宕地蔵尊
チェックアウト後は、川の向かいにある和菓子店田代屋へ寄りました。
部屋から見えていた「あまどら」ののぼりが気になっていたのですが、これが正解でした。ふわふわの生地に餡とマーガリンが挟まっていて、車の中で食べるのにちょうどいいおいしさです。子ども向けに買った小さなあんパンも可愛くて、ちょっとした寄り道にぴったりでした。
そのあと立ち寄った高塚愛宕地蔵尊も、思っていた以上に見どころがありました。
参道のにぎわいも独特ですし、樹齢1300年のイチョウや、ずらりと並ぶお地蔵さんも印象的でした。温泉の帰りに少し足を止める場所として、ちょうどよかったです。
良かった点
成天閣でよかったのは、まず川沿いの景色です。
ロビーにいても、部屋にいても、食事中でも川が見えるので、どこにいてもこの土地らしさを感じられます。川のせせらぎがずっと耳に入ってくるのも心地よかったです。
それから、夕食。
年末という時期を考えても、かなり丁寧に出してもらえた印象でした。料理の流れもよく、気持ちよく食事ができました。
そしてやっぱり温泉です。
見た目に派手な特徴があるというより、お湯そのものがよかった。ここはかなり強い魅力でした。
イマイチだった点
いちばんつらかったのは、乾燥でした。
年末のかなり冷え込む時期だったので、エアコンは切れません。でも加湿器がなく、朝には喉が痛くなってしまいました。冬に泊まるなら、乾燥対策を考えておいたほうがよさそうです。
それから、館内の寒さも少し気になりました。
ロビーは暖かいのですが、廊下やエレベーター付近はかなりひんやりしていて、浴衣のままだと寒いです。温泉に行くときは羽織りが欲しくなりました。
もうひとつは、リニューアルの差です。
客室やロビーはきれいなのに、中央館へ向かう途中の廊下や壁紙には古さが残っていて、そのギャップに少し戸惑いました。部屋に着けば気持ちは戻るのですが、そこに至るまでの高揚感が少し削がれてしまう感じはありました。
まとめ

成天閣は、すべてが新しく整った宿ではありません。
でも、川を眺めながら過ごす時間や、湯の花が舞う温泉の気持ちよさ、夕食の満足感には、この宿ならではの良さがありました。
細かな惜しさはあるのに、なぜか印象に残る。
たぶんそれは、この宿だけの問題ではなく、天ヶ瀬という温泉地そのものが持っている空気も大きいのだと思います。復興の途中にある町の景色も含めて、ただ消費するだけでは終わらない旅になりました。
福岡から少し足を延ばして、遠すぎない温泉旅行をしたいときには、十分候補に入る宿だと思います。


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